沼のほとりから

色々な沼から。ドメイン変更しました。

moon 感想(後編)

この記事について

noteに書いていたものを移行した記事です。
元記事はいつか削除します。
元記事: https://note.com/mkichi/n/nb208dc943a34
元記事投稿日時: 2020/06/30 21:34
以下から本文が始まります。
前編はこちら

勇者を探せ

その後もラブを集めたり、ヨシダと南の島に行ったりムーンワールドについて真夜中大学で学んだりしていましたが、あんまり進んでいる感じがしませんでした。
アニマルたちが残り2匹になっても真相にたどり着く気配がなく、しょんぼり気味になっていました。
いつものように自分の家で寝て、起きるとムーンワールド中に「つれづれ新聞」が貼られていました。内容は…
「勇者ミズキチを探せ
勇者ミズキチを探せ
勇者ミズキチを探せ」
そう、消息不明になった勇者を探せという内容の新聞でした。
これもめちゃくちゃ怖くて、その日の夜はなかなか寝つけませんでした。
そう、私はこの時まで勇者=自分自身ということを忘れていたのです。
勇者ミズキチということは透明な少年ミズキチは自分の犯した罪を償ってる?
ラブ集めは勇者の尻拭い?
「おかしたつみのかずかずがせすじをつたう」
などと色々な考えが浮かびましたが、分かったことが一つ。
「勇者ミズキチ」ということはおばあちゃんの孫であるミズキチは死んでおらず、勇者に仕立て上げられたのだろう、ということが分かりました。
勇者を選ぶ(?)儀式に使う白羽の矢がおばあちゃんの飼い犬、タオの宝の隠し場所から出てくることからもそうであろうと思われます。
では「みずきち」は誰なのでしょう?
それはまた後ほど。

月へ

ムーンワールドの住人からの依頼の一つに、「ロケットの完成を手伝う」というものがありました。
加えて、以前見たサイケデリックな夢で「扉を開けて」と言われます。
ヨシダと南の島にいく途中の会話の中にも「扉」の話が出てきます。
他にも色々な人の話の断片などから、主人公は「月へ行って扉を開ける」という使命を負っていることが分かります。
ラブを集め、ロケットの部品を集め、ロケットが完成しました。
とうとう月へ行く時がやってきました。
月にはテレビから話しかけてきていたムツジロー、夢でずっと話してきた月の女王、そして今まで助けてきたアニマルたちがいました。
月の女王の半身はドラゴンでした。
彼らは言います。
「もうすぐ勇者が来るからその前に扉を開けて。」
勇者の目的地もまた、月でした。
勇者にとっては月がラストダンジョンで、その目的はドラゴンを倒すこと。
冒頭のいわゆるRPG通りに進んでいます。
その前に扉を開けなければ。
透明な少年ミズキチは扉を開けようとします。
押しても引いても開きません。
開かない扉を前にどうすることもできず、女王の元に戻ります。
そのとき勇者がやってきます。
勇者は今までに助けてきたアニマルたちを殺戮し、ドラゴン目指して進んできます。
勇者はドラゴンを倒し、ムツジローやついてきていたヨシダも倒し、ついには透明な少年ミズキチまで倒してしまいます。
月の女王/ドラゴンは今際の際に「扉を開けて」ということを念押ししてきます。
透明な少年ミズキチを倒したところで勇者ミズキチの身体も崩れ、冒頭の少年がテレビの前に座り、ゲームをしている状態に戻ります。
透明な少年はどうやら元の世界に帰ってきたようです。

ゲームなんかしてないで、早く寝なさい

元の世界に帰ってきた少年は、母親と思しき人物にこう言われます。
「ゲームなんかしてないで、早く寝なさい」
ここで選択を迫られます。
コンティニューするか、終わるか。
コンティニューを選ぶと、そのままゲームを続ける少年に。
終わるを選ぶと、扉に向かう少年に表示が切り替わります。
私は最初これに気づかず、迷うことなくコンティニューを選び、テレビにもう一度吸い込まれてBAD ENDになってしまいました。
「ゲームなんかしてないで、早く寝なさい」が正解だったの〜〜〜??
ともやもやしながらその日は寝ました。
あくまで推測ですが、コンティニューの場合、少年はムーンワールドから出られなくなったのかなと思います。フローレンスさんみたくなったりして…
翌日、今度は勇気を持ってゲームを終わる選択をしました。
すると、様々な扉が開きます。あの時開けられなかった月の扉も開きました。
そしてエンディングへ。
ムーンワールドの住人が人間界に来ている様子が描かれます。
女王とドラゴンは助けることができませんでしたが、TRUE ENDを迎えることができました。

所詮ゲーム、されどゲーム

TRUE ENDを見て、moonは「やらないゲーム」でもあるのかなと思いました。
これまでの話から、現実世界の少年(=みずきち)がゲームを始めると同時にムーンワールドで勇者(=ミズキチ)も生まれると思われます。
ゲームが始まった瞬間に大臣が白羽の矢儀を執り行い、ミズキチが勇者になってしまう。
ゲームをやめると勇者も生まれず、奇盤に記された運命も変わる = 扉も開く。
という仕組みになっていそうです。
TRUE ENDでは「ゲームをやめる」ことでムーンワールドの住人が人間界に来ている = 現実世界に干渉してきている様子が見て取れます。
また、ゲーム中にひらがなで主人公のことを呼んでいた人たちがいました。
明言はされていないのですが、ひらがなはプレイヤーのことを指しているのかなと思いました。
フローレンスさんとヨシダ、ヘイガー博士はなんとなく現実世界と関わりがありそうですし、そう考えると合点がいきます。
(山猫軒の人はフローレンスさんと知り合いだったからひらがな呼びなのかなと思っています。)
勇者についてですが、ゲーム中ではかなり乱暴に描かれていますが、あれって普段プレイヤーである我々がゲームの中でやってる行為ですよね…
引き出しとかもアイテムの宝庫だから開けて当然だし、その辺にいるモンスター(アニマル)は倒して当然。
勇者から見た世界はモンスターだらけの悪が巣食う世界。
ラスボスを倒して世界を救わなければ!
一方透明な少年からみた世界はちょっと変わったところはあるけれど、平和な街。
むしろ勇者が悪に見えてくる…
この辺りもプレイヤーの現実に干渉してくる感じがしておお…となりました。

まとめ

最後までプレイして、
「めちゃくちゃな地獄という訳ではなく、めちゃくちゃ楽しいという訳でもなく、割とおだやかだけどちょっと怖いゲーム」
だなと思っています。
怖い演出が急に入るというだけではなく、プレイヤーの痛いところを突いてくる感じがゾワっとさせられます。
今思うと途中「クエストばっかりな感じだな…」と思ったのも、あんまり楽しめない時期があったのも、そういう点含め「アンチRPG」だったのかなと思います。
と、クリアしてからもあれやこれやと考えてしまうゲームでした。